心優しいとら柄くま
もの心ついた時には落花生の赤子を抱いていた
落花生の赤子はそれ以上大きくならずに何年も経っていた
いつも一緒、寝る時も一緒
一緒にいないと寝られないくらいだ
森を歩いていると小さな足につまづいてしまった
バランスを取ろうと足を出す
しかしそこは急坂になっていてうまく踏ん張らずにそのまま落ちてしまった
気がつくとずいぶん落ちたようだ
怪我をしてしまったのか立ち上がれない
でも無意識に落花生の赤子だけは抱きしめていた
しかし力が入ってしまったようだ
ヒビが入っている
かわいそうに
力強くにぎると殻が割れてしまった!
あぁどうしよう、どうして
くまは泣いて泣いて泣き込んでしまった
涙枯れるまで泣いたくまはすっかり眠ってしまった
陽の光で目が覚めるがうとうとしている
そこに豆が落ちていた
お腹が空いていたくまはぼりぼりと豆を食べる
落花生の赤子だと気づいたとき
またくまは泣き明かしたとさ
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